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はじめに |
膝関節の可動域制限を伴う疼痛を主訴とする疾患はさまざまである。今回我々は同症状を訴えた膝関節内に発生したガングリオンを経験したので報告する。 |
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症 例 |
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考 察 |
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膝関節内ガングリオンの発表は国内外共に、数例までの症例報告にとどまっているが、近年のMRIの普及に伴い増えつつある。
われわれが渉猟しえた過去約5年間の本邦の発表例をまとめてみると、発生部位はACLおよびPCLからが多かった。また、それぞれのガングリオンの存在部位は、ACLは関節内前方、PCLは関節内後方に位置するようであった。
両靭帯からの発生例に対する治療方法は、ACL発生例は透視下穿刺のものもあるが、PCL発生例は穿刺することが部位的に困難であり、ほとんどが鏡視下手術を選択している。 直視下手術に比べ鏡視下手術にて切除する場合、その大きさや部位によっては可及的切除とならざるを得ないが、再発の報告例は少ない。
鑑別診断としては滑液嚢胞が挙げられる。これは、嚢胞にはライニング細胞を認めるがガングリオンには認められないことにより鑑別可能である。
また、鏡視下の手術方法について、一般的な膝蓋下進入に加え後内側進入も追加する症例報告が見られた。特にPCL発生例の場合、関節内後方に存在する腫瘤をより同定しやすくなるといえる。今回のわれわれの症例も、後内側進入を追加すれば腫瘤を同定しやすかったのかも知れない。ただしこの際、伏在神経の存在には十分注意しておく必要がある。以上より、膝十字靭帯に発生したガングリオンに対する関節鏡視下での切除は、比較的侵襲が少なく再発率も低い有用な方法であるといえよう。 |
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まとめ |
1) |
膝十字靭帯に発生したガングリオンを経験した。 |
2) |
同ガングリオンに対し前方からのみの関節鏡視下にて切除し得た。 |
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参考文献 |
1) |
中田善博,星 忠行 他:後十字靭帯由来と思われた滑液嚢腫の1例.東北膝関節研究会会誌,14:17-19,2004 |
2) |
上田広伸,熊野文雄 他:膝関節十字靭帯近傍に発生したガングリオンの5例.中部整災誌,45:1033-1034,2002 |
3) |
Caan,P:Zystenbildung(Ganglion)imLigamentumcruciatumant.genus.Deut.Z.Chir.,186:403-408,1924 |
4) |
梅本裕介 他:膝前十字靭帯実質より発生した関節内ガングリオンの1例.関節鏡,27:1-4,2002. |
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Key words: |
PCL,ganglion,scopy |
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