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はじめに |
MRI上、後十字靭帯(PCL)よりの発生と思われたガングリオンを、膝関節鏡視下に内側半月板後角よりの発生であると診断し治療したので報告する。 |
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症 例 |
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考 察 |
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半月板ガングリオンを含む膝関節内の嚢腫様病変の頻度は膝関節鏡を実施したうちの0.4〜2.0%存在すると報告されている1)。膝半月板ガングリオンの好発部位としては外側に比べて内側に多く、内側半月板では後角、外側半月板では前節〜中節に多く発生するとされている2)。 半月板ガングリオンには半月板断裂との関連が示唆されており、半月板ガングリオンのある症例のうち約91〜98%に半月板断裂を伴うと報告されている2)。今回の症例にも外傷歴があり、明かな交通は確認し得なかったものの半月板断裂を伴っており、半月板断裂が存在し断裂部より関節液が進入しガングリオンが発生したと推測される。 LektrakulらはPCLガングリオンと酷似したMRI所見を示す内側半月板ガングリオンを10例報告しお互いの鑑別法とし1)内側半月板ガングリオンは半月板断裂を伴うこと、2)内側半月板ガングリオンには半月板からの茎が存在すること、3)内側半月板ガングリオンはPCL中央後方に多くPCLガングリオンはPCLの脛骨大腿骨付着部に多いこと4)内側半月板ガングリオンはPCLを全周性に取り巻くように存在することをあげている4)。今回の症例は、画像上は1)は満たしているが、2)〜4)は満たしておらず手術前はPCLガングリオンを疑っていた。また関節鏡視上も2)の茎の存在は確認できたが腫瘤はPCLの中央後方に位置しており3)、4)は満たしていなかった。 半月板ガングリオンの成因が明かでなく、腫瘍説、先天性説、外傷説、変性説等諸説が存在する。再発の報告もあるため、Pedwittzら5)は半月板ガングリオンの手術術式として、半月板断裂を伴うものは関節鏡視下の半月板部分切除とガングリオンの摘出もしくは破砕による除圧術を行い、半月板断裂を伴わないものは再発を防ぐために膝関節を切開しガングリオンの摘出を勧めている。一方Sarimoら1)やNakagawaら5)は十字靭帯ガングリオンを含む膝関節内の嚢腫様病変はほとんど再発せず、関節鏡視下の切除で十分であると述べている。我々の症例はガングリオンとの明らかな交通はなかったものの半月板断裂を伴い、ガングリオンは関節内のみに存在し、鏡視下手術により完全に切除できたため膝関節切開による処置は行っていない。術後3年近く経過しているが再発はなく経過は良好である。 半月板断裂をともなう関節内の半月板ガングリオンは鏡視下半月板部分切除とガングリオンの摘出で対処が可能であると考えている。 |
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参考文献 |
1) |
1) Sarimo J, Rantanen J, Helttula I, et al. Intra-articular cysts and ganglia of the knee: a report of nine patients. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 2005; 13: 44-7 |
2) |
2) McCarthy CL, McNally EG. The MRI appearance of cystic lesion around the knee. Skeletal Radiol 2004; 33: 187-209 |
3) |
3) Lektrakul N, Skaf A, Yeh L et al. Pericruciate meniscal cysts rising from tears of the posterior horn of the medial meniscus AJR 1999; 172:1575-9 |
4) |
4) Pedowitz RA, Feagin JA, Rajagopalan S. What would you do? A surgical algorithm for treatment of cystic degeneration of the meniscus. Arthroscopy 1996; 12: 209-16 |
5) |
5) Nakagawa Y, Matsusue Y, Nakamura T. Ganglia of the posterior cruciate ligament. Bull Hosp Jt Dis 1998; 57: 165-8 |
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Key words:Meniscal cyst, arthroscopy, pcl ganglion |
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